Abstract
本稿では,物語構造を把握可能にするために,変化する登場人物間の関係性を可視化する手法を提案する.人物間の関係性を可視化する手法に相関図があるが,その多くは静的であり関係性がどのように変化するのかは分からない.また,物語には「読者が読み進める時間」と,「物語の登場人物の過ごす時間」という2種類の時間軸が存在するため,作品を読み進める時間軸に沿った関係性の変化を可視化するだけでは物語の構造を十分に把握することが難しい.提案手法では,人物間の関係性をネットワークで表現し,このネットワーク構造を時間変化に伴って変化させる.このとき,「作品を読み進める時間軸」の操作に連動して,「物語内の時間軸」上での人物間の相関図を提示することで,異なる2種類の時間を対応付けながら物語を把握可能にする.本稿では,提案手法のデザイン指針と活用可能性を議論する.