Abstract
災害発生時のように緊急性の高い状況で迅速な意思決定を行うには,大量の情報の中から意思決定に必要な情報を峻別する情報トリアージを複数人で協調的に行うことが求められる.一般に,協同でのタスク遂行におけるメンバ間コミュニケーションの重要性はたびたび指摘されているが,時間的制約の厳しい状況下でタスクを遂行する際には,コミュニケーションがタスク遂行のオーバヘッドになる場合がある.こうした問題を避けるために,コミュニケーションがタスクの遂行にどのような影響を与えるかを明らかにする必要がある.そこで本論文では,コミュニケーションの有無を統制して情報の重要度を評定するシナリオベースの実験を行った.実験では,検証の必要な情報や,真偽の不確かな情報といったエラー情報を混在させたデータを対象として,評定した情報の重要度のメンバ間での一致率,及びエラー情報の検出精度について調査した.実験の結果,コミュニケーションは情報の重要度の一致には寄与しないことが確認された.一方で,コミュニケーションの促進と外部情報の参照が両立された場合にはエラー情報の検出率が向上することが確認された.
Information
Book title
電子情報通信学会論文誌
Volume
J103-D
Pages
382-392
Date of issue
2020/05/01
Date of presentation
2020/05/01
DOI
10.14923/ transinfj.2019DEP0013
ISSN
1881-0225
Citation
安尾 萌, 藤代 裕之, 松下 光範. 協調的情報トリアージにおけるメンバ間のコミュニケーションが情報峻別の結果に与える影響の検討, 電子情報通信学会論文誌, Vol.J103-D, No.5, pp.382-392, 2020.