Abstract
本研究の目的は,複数の作業者で行うアノテーションにおいて,仕様書の改善を支援するインタフェースの実現である.作業者間で判断が分かれると,設計者はこれを手がかりに仕様書を改善するが,得られるのは票数や一致度などの集計結果だけで,どの文でなぜ分かれたかは分からない.前報で筆者らは,作業者がどの文・語句をどう判断したかを記録するインタフェースを開発し,仕様書を改訂してその効果を一致率で評価したが,一致率は結果しか測らず,設計者が作業ログを見て推察をどう変えるかは明らかにならない.本稿では設計者1名に,集計結果のみの条件と作業ログを見る条件を与え,ハード/ソフトニュース分類の単一事例で原因分析を比較した.作業ログを示すと,不一致の原因を作業者の判断記録に紐づけて論じる記述が現れ,標準解の見直しにまで及んだ.ただしこの照合は,分布の全体に対して選択的でありうる.作業ログは原因分析を正解へ導く装置ではなく,推察を実際の判断と照合可能にする材料として働くと示唆される.
Information
Book title
情報処理学会研究報告
Volume
2026-HCI-219
Pages
1-8
Date of issue
2026/08/27
Date of presentation
2026/09/04
Location
福岡県北九州市(北九州学術研究都市)
ISSN
2188-8760
Citation
杉本 麻衣, 松下 光範. アノテーション作業ログの提示が仕様書の改善過程に及ぼす影響, 情報処理学会研究報告, Vol.2026-HCI-219, No.13, pp.1-8, 2026.