Abstract
【はじめに・目的】本研究では,市販されている3つのウェアラブルデバイスを同期させ,跳躍動作を簡易に計測する手法を提案する.跳躍動作は運動能力評価や傷害リスク推定に用いられ,全身の連動や姿勢が結果に影響する.運動計測の簡易な手段としてウェアラブルデバイスが活用されるが,従来手法では複数部位間の相対的な動きを捉えきれない課題があった.そこで,身体上の3点(頭部・腹部・膝上部)にセンサーを配置し,腹部を基準とした頭部・下肢の相対姿勢と,跳躍高や接地時間などの跳躍特性を同時に計測する手法を提案した.検証として,異なる跳躍動作であるリバウンドジャンプと二重跳びを対象に,提案システムにより跳躍特性および各部位の角度変化を算出し,動作ごとの姿勢変化の傾向を簡易に定量化できるかを確認した.
【方法】情報系学部に所属する大学生および大学院生の男女7名を対象とし,リバウンドジャンプ5回,二重跳び20回を目標として,各動作を3試行ずつ実施した.計測には,AirPods,iPhone,Apple Watchをそれぞれ頭部,腹部,膝上部に装着し,各デバイスから加速度およびクォータニオンを取得した.取得データにリサンプリング,加速度補正,時間同期を適用した後,クォータニオンから各部位の絶対角度と,腹部に対する頭部および膝上部の相対角度を算出し,直立時の姿勢を基準姿勢とし,各部位について基準姿勢との差分角度を求めた.さらに,加速度の周期的変動に基づいて跳躍区間を抽出し,接地時と滞空時の周期的な姿勢特徴を算出した.
【結果】各部位の基準姿勢からの差分角度の平均(リバウンドジャンプ,二重跳び)は以下の通りであった.接地時は,体幹が−18.57°,−21.33°,膝上部の絶対角度が16.17°,11.79°,頭部の絶対角度が7.71°,3.90°,腹部に対する膝上部の相対角度が29.40°,33.12°,腹部に対する頭部の相対角度が13.25°,25.23°であった.滞空時は,体幹が−0.08°,3.99°,膝上部の絶対角度が6.47°,10.71°,頭部の絶対角度が4.42°,1.79°,膝上部の相対角度が3.46°,6.72°,頭部の相対角度が0.88°,−2.20°であった.
【結論】提案手法により,跳躍動作を定量的に計測できることが確認できた.これにより,手軽なデバイスのみで全身の姿勢を捉えられ,多様な動作の計測や姿勢評価が行える可能性が示唆された.本研究では,その一例として2種類の異なる跳躍動作を比較した.リバウンドジャンプは,接地時に体幹を前傾させて膝を大きく曲げ,滞空時には体幹をほぼ直立に保ちつつ膝を伸ばす.一方,二重跳びは,接地時に体幹を前傾させ,滞空時には直立に近い姿勢へ戻るが,膝は接地・滞空のいずれにおいても曲げた姿勢をとることが明らかになった.
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Information
Book title
第4回デジタル理学療法学会学術大会
Date of issue
2026/06/20
Date of presentation
2026/06/20
Citation
東岡 秀樹, 堀 寛史, 松下 光範. 複数のウェアラブルデバイスを用いたジャンプ躍動作計測手法の提案, 第4回デジタル理学療法学会学術大会, No.O-6, 2026.