Abstract
【背景】診療録等の文章から計算機が知識を抽出する際,その記述の網羅性が課題になる.本研究は,選択検査数に対する文章内検査数の比(適合率)と経験年数の関連を調べ,文章の特性を検証した.
【方法】理学療法士22名(経験1–13年)に大腿骨転子部骨折の模擬症例を提示し,問題点と検査を選択後,検査間の関係を自由記述させた.回答が多い「筋力」「可動域」「痛み」の3領域で適合率と経験年数のスピアマン順位相関(ρ)を算出した.
【結果】筋力領域で中程度の負相関を認めた(ρ=−0.55,p=0.03).可動域および痛み領域では関連を認めなかった(ρ=−0.19,0.21;いずれもp>0.05).
【結論】経験年数が増すほど筋力領域の適合率は低下する傾向が確認されたため,筋力に関する知識は省略されやすい.臨床経験が増すことで文章を処理する際には,省略された内容を事前に補完する必要があると示唆される.
Information
Book title
第3回デジタル理学療法研究会学術大会
Date of issue
2025/06/29
Date of presentation
2025/06/29
Location
東京都文京区(順天堂大学)
Citation
高橋 可奈恵, 三藤 優実, 堀 寛史, 松下 光範. 理学療法推論時の検査適合率と経験年数の関係 ーテキストデータをデジタル処理するための基礎研究ー, 第3回デジタル理学療法研究会学術大会, 2025.