Abstract
本研究では,物語作品の創作を支援することを目的として物語構造を把握する手法を提案する.物語は登場人物が行動・対話し,それによって変化する過程を描いたものであるため,登場人物間の関係性の変化を把握することは現物語の構造理解において重要な分析観点の一つである.登場人物間の関係性を可視化する手法として相関図があるが,その多くは静的であり,関係性の変化を読み取ることは難しい.提案手法では,読者が読み進める時間(物語言説時間)と物語の中で登場人物が体験する時間(物語内容時間)のふたつの時間的観点から,登場人物の関係性の変化をインタラクティブに可視化することでこの問題の解決を試みる.登場人物間の関係性をネットワーク図で表現し,物語言説時間と物語内容時間のそれぞれの時間軸をタイムラインとして可視化し,物語言説のタイムラインに付与したスライダー機能を操作することにより関係性を変化させられるようにした.ユーザ実験により提案手法の有効性を検証した結果,提案手法を用いることで登場人物間の関係性やその変化を理解できるようになる一方で,時間構造の可視化については改善の余地があることが確認された.
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Information
Book title
人工知能学会論文誌
Volume
40
Date of issue
2025/09/01
Date of presentation
2999/09/09
Citation
宮川 栞奈, 藤川 雄翔, 松下 光範, 山西 良典. 物語展開に伴う登場人物間の関係性変化の可視化, 人工知能学会論文誌, Vol.40, No.5, 2025.