Abstract
本研究では,新たなモノのアイデアの実現に伴う副次的な問題を考慮するための,対話的なアイデア発想支援手法を提案する.アイデア発想では「便利にすること」に過度な着目がなされることにより,「便利の副作用」が副次的に発生する懸念が存在する.アイデアを実現させる際は,目的達成に必要な構成要素と,それらの相互作用による変化を踏まえた,大局的な観点から発想を行うことが肝要である.提案手法では,現状からアイデアの実現により改善する点と,それにより悪化してしまう点のトレードオフの組み合わせに基づき,TRIZ(発明的問題解決理論)を用いた解決策のアイデアを,大規模言語モデル(LLM)で生成し,構成要素の探索を行える仕組みを提供する.これにより,発想において副次的な影響として見落とされがちな,新たなモノの導入による問題点を,発想段階から検討することが可能になる.