予稿集

高齢者の旅行における体験情報の外在化を目的とした協創環境のデザイン

Abstract

本研究の目的は,対話により体験情報を外在化し,記録として蓄積するための協創環境の実現である.この環境は,計算機に馴染みの薄い話し手を対象に,話し手が体験情報を一方的に語るのではなく,聞き手も積極的に関与することで引き出して外在化し、協調的に情報を編纂していくための基盤である.本稿では,聞き手が話し手から体験情報を引き出すインタラクションのモデルとして,高齢者の土産話に着目した.ユーザ中心設計の観点から一人の高齢者に着目し,体験情報の外在化行為の観察およびインタビューを行ったところ,体験情報に関連する資料や情報があることによって外在化が促進されることが示唆された.この知見に基づき,協創環境のデザイン指針を (1) 体験情報を外在化するための情報提示機能,(2) 外在化された体験情報の記録機能と定め,実装されたシステムを用いてユーザ観察を行うことで有用性について検討した.その結果,聞き手が協創環境から提示される情報を活用することで,双方向性のあるコミュニケーションが実現し,高齢者から体験情報を引き出しながら,それを電子的に記録・蓄積することが可能であることが明らかとなった.一方で,ユーザインタフェースや機能,提示する情報の構造については改善の余地があることがわかった.

Information

Book title

インタラクション

Pages

108-117

Date of issue

2015/02/26

Date of presentation

2015/03/07

Location

東京都江東区(日本科学未来館)

Citation

白水 菜々重, 月川 香奈子, 盛山 将広, 松下 光範. 高齢者の旅行における体験情報の外在化を目的とした協創環境のデザイン, インタラクション, pp.108-117, 2015.