Abstract
物語は,物語内容で経過する時間(物語内容の時間)と,それがテキストとして表出される表層的な時間関係(物語言説の時間)が異なり,それによってジャンルの特徴や読み手の感情想起を制御している.この点に着目し,両者を関係づけて操作できる可視化インタフェースを実装し,その有用性について検証した.この手法では物語言説の時間を操作するスライドバーと物語内容の時間を操作するスライドバーが連動し,一方のスライダーを操作して関係性の変化や新しい登場人物の出現を眺めつつ,二つの時間の間の関わりを関連づけて理解することができる.ユーザ実験を通じて,(a)未知の作品の時間的経過に伴って変化する物語展開の把握に貢献すること,(b)複数の作品の比較において,類似点や相違点の理解に貢献することが確認できた.一方で,物語内容において出来事が分岐するような複雑な時間軸の把握には更なる機能拡張が必要であることも確認された.
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Book title
2023年度関西大学大学院総合情報学研究科修士論文
Date of issue
2024/02/20
Date of presentation
2024/02/20
Citation
宮川 栞奈. 物語の展開に伴う人物関係変化のインタラクティブな可視化に関する研究, 2023年度関西大学大学院総合情報学研究科修士論文, 2024.