Abstract
システムを設計する際,「より便利であること」や「より効率が良いこと」を目的に設定することは当然のこととして認知されるが,人間の行動も含めた影響伝播を広く見渡さないまま効率性や機能性を短絡的に追求することは,想定外の問題を新たに発生させる懸念がある.本研究はこのような問題を解決する一つの試みであり,新たなモノを設計する際に企図した利便性だけでなく,そのモノによって生じ得る副作用に着目し,より大局的な観点からシステムを設計する方法論の確立を目指す.効率化や高機能化による便利の実現によって生じる望ましくない副次的効果を「便利の副作用」と定義し,システム設計段階からその影響を洗い出し設計に反映させることを狙う.