Abstract
コミックや小説などの物語コンテンツは,物語中の時間進行に伴って発生するイベントに応じたキャラクタの行動や変化で駆動される.
キャタクタの変化は「成長」とも表現され,読者はこの成長に共感しつつコンテンツを享受する.
キャラクタの成長は主として内面に関わる事象であり直接的にコンテンツから観測することができず,その理解は読者各々の主観的な解釈に委ねられるが,
コミックではキャラクタの成長をセリフや表情,行動といった情報を用いて,読者が理解できるように表現されている.
例えば,成長をセリフを用いて表現する場合には,「冒頭では頼りない発言をしていたキャラクタが終盤では強気な発言をする」といった変化が描かれるであろう.
この時,読者はキャラクタがある出来事を境界として「頼りない」状態から「強気」な状態へ変化したということを発言内容から読み取り,その成長を理解する.
このことからキャラクタの発言に着目し,そのセリフ内容の極性がどのように変化するかで成長に関する情報を疑似的に表現できると考えた.
またこのようにして得られた感情の変化と物語中に発生する出来事の特徴を比較し,その関係性を探索的に検討することでキャラクタの成長に関するメカニズムを解明することも期待される.
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Information
Book title
2022年度関西大学大学院総合情報学研究科修士論文
Date of issue
2023/02/15
Date of presentation
2023/02/15
Citation
樋口 亮太. セリフの感情極性と物語中の出来事の関係性に基づくキャラクタの変化に関する調査, 2022年度関西大学大学院総合情報学研究科修士論文, 2023.