Abstract
本研究の目的は,ディジタルファブリケーションにおけるものづくりに対して初学者が学習を始める段階へ到達することを目指し,そのために必要な基礎技能の獲得と創作意欲の維持を目的とした体験プロセスを設計することにある.ディジタルファブリケーションとはディジタル工作機器によってディジタルデータをもとにものづくりを行う技術である.近年ではディジタル工作機器が安価になり一般家庭での利用が可能になっている.しかし,ディジタル工作機器を利用したものづくりへの新規参入は難しいとされている.これはもととなるデータ作成の困難さ,作品の構想づくりへの先入観が原因として挙げられる.この原因となるデータ作成の困難さや作品の構想づくりはものづくりに対する創作の意欲に影響し,この意欲の欠如が初学者の新規参入の難しい要因となっている.そのため,初学者におけるディジタルファブリケーションプロセスを設計し,基礎技能の獲得や意欲維持が可能な物づくり体験を企図する必要がある.そこで本稿では,ディジタルファブリケーションに利用される 3D プリンタを対象に,初学者が一通りの創作活動を行うことが可能な導入体験を企図することで基礎技能の獲得と意欲維持を目指す.先行研究から初学者の技術的障壁,必要な技能,作品の構想に必要な要素を用いて体験の企図を行った.本稿の主な体験としてゲームコンテンツを活用した空間認識能力の獲得,創造性のルーブリックを基にしたアイデアノートによる作品の構想づくり,作品の構想から簡易 3D モデリングによる制作の 3 つの体験を企図している.
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Information
Book title
情報処理学会研究報告,萌芽・デモ・議論/国際会議既発表セッション
Volume
2021-EC-59
Date of issue
2021/03/16
Date of presentation
2021/03/16
Location
オンライン
Citation
小林 光, 松下 光範. ものづくりにおける基礎技能の獲得と意欲維持を目的としたディジタルファブリケーションプロセスの設計, 情報処理学会研究報告,萌芽・デモ・議論/国際会議既発表セッション, Vol.2021-EC-59, No.21, 2021.